「純潔」と「謙遜」そして「幸福」と「不吉」?

5月1日は「スズランの日」。
フランスではスズランの花を贈る習慣があるそうです。
西欧の伝説によれば、森の守護神であった聖レオナールが、森で人々を襲っていた竜と戦って傷ついた際、滴った血の跡からスズランは生まれたとされています。

花言葉は「純潔」「謙遜」など、その姿から連想されるものが多いのですが、伝承では「幸福」と「不吉」の両方を表したり、フランス語で「女たらし」を意味することもあるなど両義的です。

そのわけは、スズランが毒を持っているから。
美しく清楚な姿のうちに、特別な力が秘められているのです。
昔から薬草としても用いられ、現在も用いられている薬の成分を持っているのですが、副作用を起こす毒性も強いので要注意だとか。

季節はいよいよ春から夏へ。
五月五日の端午の節句が二十四節気の立夏です。

きらきらと初夏の陽光が降り注ぐ中、白く可憐で甘い芳香を持つスズランの涼しげな外見からは、思いもよらない毒でもあり薬でもあるその存在感。

実りの季節の始まり、人々はスズランの魔力にあやかりたいような気持ちもあって、この花を贈りあうのかもしれません。

※参考文献・資料
『中世の祝祭』フィリップ・ヴァルテール:著 原書房
「神話と伝説にみる 花のシンボル事典」杉原梨絵子:著者資料